姑獲鳥(うぶめ)

姑獲鳥 うぶめ
産女とも。
鳥山石燕の『画図百鬼夜行』に解説はない。
難産で亡くなった女性の霊が妖怪になったものらしい。
女性にとって出産は命がけ、多くの地方で似たような悲しい話が存在する。
夜、川縁などで赤子を抱いた女性が泣いていおり、その姿は半裸、下半身の巻物は血に染まっている。
そして、通りかかった者に子を抱いてくれとせがむのだ。
子を抱いてやると成仏して消えるとか、子がだんだん重くなり絶えきれなくなり圧死しちゃうとか結末は色々。
鳥の姿で子を奪う話もある。
その場合、中国の姑獲鳥(こかくちょう)と云う怪鳥話から由来するらしいく、石燕先生はこの字をあてたのかもしれない。
【怪異録:産女】
その夜は、友と話が弾み帰りが遅くなった。
夜が更けて提灯を勧める友に、綺麗な月夜なのでと断った。
ほろ酔い気分で不々落々と家路に就く。
川にさしかかり橋を渡る。
川面に映った月が、なんとも美しく、
川からの風も火照った身体に気持いい。
しばらくこうしていよう。
静寂の中、赤子の泣き声がした。
否、したように思えた。
聞き間違えか… 。
すると川の方から声がした。
もし、そこのお人… この子を抱いてくださりませぬか…
暗がりから赤子を抱いた女が現れた。
身にまとった衣は血に染まっている。
しかし、不思議と恐れはなかった。
わたしは産女でございます
成仏するのに念仏を百万遍唱えなければなりません
その間、この子を抱いていてほしいのです…
産女と言えば物の怪の類い。
取り殺されるやもしれぬ…。
しかし、何故か恐れではなく、悲哀の方が先に立っていた。
わかった!
思う存分念仏を唱えな
あんたの念仏が終るまでこの子を抱いていてやるから
あんたが成仏するまでこの子を抱いていてやるから
安心しな!
私は言葉を発するやいなや目から涙が溢れた。
女から赤子を受け取り抱きしめ、そして打ち震えた。
重いな?
なんて重い子だ?
こんな小さな身体で全部背負ってるのか
生きたかったろ?
生きたかったろうな?
悲しいな?
悲しすぎるな?
おっかさんと一緒に成仏しな
向うにゃ地蔵菩薩様がいらっしゃる
お前もおっかさんもちゃんと救ってくださる
幽霊だろうが物の怪だろうが関係ねえ。
この親子を救いたい。
ただそう思った。
どれほどそうしていたのだろう。
気づくと朝になっており、
私は石のお地蔵様を抱いて川縁にたたずんでいた。
狐狸にでも化かされたのだろうか。
抱いていたお地蔵様を見ると優しげな顔。
微笑んでいるように見えた。
・゚・(ノД`;)・゚・
悲しませてどうする!(#゚Д゚)=○)`Д)、;'.ヘブッ
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